「ゲド戦記」 ジブリの黒歴史! 中二病に取り憑かれた中学生が一晩で考えたような物語


ゲド戦記 [DVD]

評価 ★☆☆☆☆

喩えるなら 『ジブリの黒歴史! 中二病に取り憑かれた中学生が一晩で考えたような物語』

2006 スタジオジブリ アニメ映画



ヒドいヒドいとは聞いていたが… これほどとは。。

公開当時ジブリが嫌いになってしまうのが怖くて、いままでずっと避けていて観ないでいた。あれから8年経ってジブリへの自分の期待もずいぶん低くなって、「今の俺なら多少ネタにしつつ、楽しくゲドを見れるかもしれない」と思っていたのだが、どうやらまだ自分には早かったようだ。これを楽しめるほど大人にはまだなれていなかった。あのジブリからこんなヒドい作品が出るとは、正直ショックだ。見終わったあとは呆然としたあと、だんだん落ち込んで来てしまった。ヒドいって言うのは、「ジブリ作品として」ヒドいっていう意味かと思っていたんだけど、そういう次元じゃなかったのね。。
 これはジブリの看板がなかったら絶対誰も観ないだろうな。ジブリ好きはネタとしても絶対見てはいけない作品だ。

 話とかも起承転結とか一切なくて、支離滅裂でチンプンカンプンなんだけど、そういうこと以前に、そもそもみんな滑舌が悪すぎて、なにを言ってるのかよくわからずイライラする!! 重要そうなシーンは輪をかけてさらに滑舌が悪くなるので、話の筋すらよくわからない。 テルーは最後なぜ突然ドラゴンに変身しちゃったの?! なんで最後アレンは突然改心して包茎ソードを抜いたの?! さっぱりわからん。。 
 単純なカットとカットのつなぎとかもものすごく不自然で、場面が変わったのかと思いきやそうではなかったりして、不自然でいちいち気持ちわるい。アニメーション作品として初歩的なところからしてまともにできていなかった。

中二病に取り憑かれた中学生が一晩で考えたような物語


 「光と影」とか「ドラゴン」とか「真の名前」とか「自分の影」とか「抜けない剣」(何故か卑猥の形をしている!)とか。。 中二病的なファンタジー要素が満載なのだが、取ってつけたような感じで全く機能してない。『とりあえず思いつきで形だけ入れてみました』って感じだ。

 各キャラクターも何がしたいのかさっぱりわからず、その場の思いつきで行動しているようにしか見えない。そのくせ、突然偉そうに名言っぽいことを説教臭く言い出すのでイライラしてしまった。

まさかの主人公不在。全員空気。


 アレンっていう少年が主人公っぽい感じなのだが、死にたいって言ったり生きたいって言ったり、敵の一言で裏切ったり、テルーの一言で味方に戻ってきたり、意味不明。途中から大賢人ゲドが敵との因縁っぽいのがることがわかり、主役っぽい感じになるのだが、最後は結局敵にあっさり捕まって活躍らしい活躍もせず、蓋をあけてみたら一番活躍していたのはポッと出のヒロインのテルーだったという超展開だ。

 敵も味方もロクに戸締まりしないからなんの苦労もなく簡単に侵入を許すし、敵がいるってわかってるのに簡単に騙されたり誘拐されたり、イライラする展開の連続だ。困難とかもさっぱりないので、冒険にもなってなかった。

 これは原作者が激怒するわけだ。。 スタジオジブリが自分の作品を映画化してくれるってなって、これが出てきたらショックだろうな。。 「スクリプト(脚本)に関しては責任を持つ」って駿さんが原作者に約束していたみたいだし、これはもはや詐欺にあったようなものだろうな。

ジブリファンからの卒業

どんなに話が酷くても、ジブリだし映像だけは楽しめるだろうと考えていたのだが、甘かった。どのカットもシーンが恐ろしく単調で動きがなく、退屈だ。 主人公の顔すらしょっちゅう作画崩壊するほどだ。背景の風景だけは止め絵では美しいと思ったが、カメラワークがおかしいためか、動かしたとたん不自然になっていた。

 ポッと出の脇役のキャラですら独特の雰囲気を見せる、奥行きのある世界観を描いていた宮崎駿はやはり天才だったのだと再認識した。本作では映画作品なのに昔のTVアニメのように脇役が全員止まって動かないどころか(特に奴隷として運ばれていくシーンとか酷かった)、主役級のキャラまで全員支離滅裂で最後までキャラが固まっていなかった。自分はジブリファンではなくて、宮崎駿のファンだったのだ。。 なにか長年の呪縛が解けたような感じだ。

 ポスト宮崎駿時代の存続のために焦っていたスタジオジブリが、天才・宮崎駿のために作った絶対王政の映画作りのしくみを、話題作りのために血筋だけのド素人監督にそのまま任せてしまったのだと思う。(経緯とかWikipediaに乗っている以上のことは知らないけど、自分の勝手な予想。) その結果、素人の監督にも関わらず周囲のスタッフが誰も意見することができず、できてしまったのがこの作品なのではないだろうか。

「夏草や 兵どもが 夢の跡」


 ジブリ凋落へのターニングポイントとして、自分にとって忘れられない悲しい記念碑的な作品となった。いまやジブリもスタッフを大量解雇したようだし、今後はジブリを大作主義を忘れて細々とやっていくか、過去作のキャラクター商品でやっていくのだと思う。

 かつて栄華を誇っていた空中都市ラピュタが無人の巨大な遺跡になってしまったのを目の当たりにしたときのような、あるいは、ナウシカでかつての大都市が腐海に飲み込まれてしまったのを目の当たりにしたときのような、そんな物悲しくも壮大な運命を感じてしまった


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metaphorizer

 いい映画は観るたびに発見があるので、何度観ても楽しめる。 つまらない映画は観たあとにあーでもない、こーでもないと言い合って楽しむ。 映画館に行くよりも、引きこもって家でだらだらDVD観るのが好き。 特にSF、サスペンス、アニメーション。


なんとなく評価基準


★★★★★ 超スゴイ!! 殿堂入り。
★★★★☆ スゴイ! 人に薦めたい作品。
★★★☆☆ まあまあ面白い。また観てもいいかも。
★★☆☆☆ ちょっと残念。もう一度観ることはないかな。
★☆☆☆☆ かなり残念。観なきゃよかった。。