「ゼロ・グラビティ」 圧倒的孤独感の宇宙サバイバル。映画史に残る傑作

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評価 ★★★★★

映画史に残る傑作が生まれた。

 一言で喩えると『圧倒的孤独感の宇宙サバイバル』

2013 Gravity



圧巻。

2013年公開の映画では、はじめ自分的に「オブリビオン」が久しぶりにかなり良作なSFだったのでこれ以上はさすがにないかな? と思っていた。しかし、「ゼロ・グラビティ」はそれをはるかに超える作品だった。確実に映画史に残る語り継がれる傑作となるだろう。2013年は映画豊作の年となった。

筋書きはものすごくシンプル。スペースシャトルで作業中に事故に巻き込まれ、シャトルも崩壊、偶然にも生き残った女性宇宙飛行士(サンドラ・ブロック)が、知恵と勇気をふり絞り地球への帰還を目指す。

冒頭からラストまでハプニングの連続でドキドキしっぱなし。そのさなか、ふと魅せられる背景の宇宙と地球の美しさ。よけいなシーンが全くない、演技・脚本・映像美、すべての点で完璧な映画だった。


「2001年宇宙の旅」を超えた! 宇宙空間にひとり浮かぶ孤独感を見事に表現


キューブリックの「2001年宇宙の旅」は60年代の古い作品だが、キューブリックの異常なこだわりで作られた映像美は美しいだけでなく科学的にも破綻がなかった。半世紀経ってもまるで色褪せることなく、あれを超える宇宙空間の表現はもはや不可能ではないかと思っていた。

「ゼロ・グラビティ」がそれを超えたのは、上も下もない広大に広がる宇宙空間の中にひとりぽつんと浮かぶことの圧倒的な孤独感を、CGならではの軽快なアングルまわしで見事に表現したことにある。「2001年宇宙の旅」の映像の唯一の欠点は、(当時CGがなかったので)カメラアングルが固定のシーンが多く、どうしても宇宙が平面的に見えてしまうことだったと気づいた。これはさすがに現代のCG表現の勝利だろう。もしキューブリックが生きていたら悔しがったに違いない。

宇宙は本来人間の生きる場所ではない。宇宙服がなければ、またたく間に死んでしまう。
そんななかひとり取り残される恐怖。自分の息だけがこだまする静寂の中で、ゆっくりと死に向かっているような背筋が冷たくなる感覚を覚えた。

まるで自分が開所恐怖症になってしまったかのようだった。


劇中で生きる意味を見出す主人公


斬新だったと思うのは、はじめ主人公が全く生に執着していない点。サバイバルものの映画の主人公としてはすごく珍しい。いちばん生きる意思のない主人公が、偶然にもたったひとりの生存者となってしまう。そして、もがき続けて苦難を乗り越えていくうちに自分が生き残る理由をみつけ、じょじょにじょじょに強くなっていく。この映画はほとんどサンドラ・ブロックの一人芝居なのだが、この演技が素晴らしく、強く感情移入させられた。


「アポロ13」と比べて


有名な宇宙サバイバルものとして「アポロ13」(1995)もあるが、アポロ13は地球のスタッフも協力してメンバーの帰還を目指す群像劇だった。比較すると本作は、回想以外は地球側の奮闘は全くもって描かれず、きわめて主観的な作りになっている。まさに自分との戦いだ。これは主人公を極限状態において孤独感を演出し、観客を共感させる上で正解だっただろう。


邦題については、原題「Gravity」そのままで「グラビティ」とシンプルなほうがよかったのではないかと思う。本作は、失った重力を取り戻すためにもがくストーリーなのだから。



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metaphorizer

 いい映画は観るたびに発見があるので、何度観ても楽しめる。 つまらない映画は観たあとにあーでもない、こーでもないと言い合って楽しむ。 映画館に行くよりも、引きこもって家でだらだらDVD観るのが好き。 特にSF、サスペンス、アニメーション。


なんとなく評価基準


★★★★★ 超スゴイ!! 殿堂入り。
★★★★☆ スゴイ! 人に薦めたい作品。
★★★☆☆ まあまあ面白い。また観てもいいかも。
★★☆☆☆ ちょっと残念。もう一度観ることはないかな。
★☆☆☆☆ かなり残念。観なきゃよかった。。